基調講演 臼田 裕一郎 氏

防災DXの現状と今後の展開

Current Status and Challenges of “BOSAI-DX” (Digital Transformation for Disaster Risk Reduction)
臼田 裕一郎 氏 顔写真

臼田 裕一郎

ウスダ ユウイチロウ

国立研究開発法人防災科学技術研究所
総合防災情報センター長

National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience
Director of Center for Digital Transformation and Action Research

慶應義塾大学環境情報学部卒、同大学院政策・メディア研究科修了。博士(政策・メディア)。
地球観測衛星受信システム開発やリスクコミュニケーション支援システム開発を経て、2006年防災科学技術研究所入所。現職および防災情報研究部門長として防災情報に関する研究開発に従事するとともに、筑波大学教授(協働大学院)としての人材育成、AI防災協議会理事長・防災DX官民共創協議会理事長としての防災DXの推進に努める。

アブストラクト

巨大化、頻発化、複雑化する自然災害に対し、少子高齢化等により脆弱化が進む社会が立ち向かうためには、デジタル技術を活用し、災害対応を極限まで効率化するとともに、効果を最大化する「防災DX(デジタルトランスフォーメーション)」を実行することが喫緊の課題である。そのための前提となる組織間情報共有を実現する技術として、筆者らは2014年からSIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)を研究開発し、その過程でISUT(災害時情報集約支援チーム)を創出する等、毎年発生する災害への実適用とともに、情報共有の必要性、有効性を示してきた。

しかし、今年元日に発生した能登半島地震では、行政、DMAT、自衛隊でそれぞれ独立した避難所情報を生成し、その統合に時間がかかったこと等、8年前の熊本地震と全く同じ問題が発生しており、情報共有以前に、基盤的データの徹底的な浸透・定着の必要性が浮き彫りとなった。その一方、自治体と民間団体からなる防災DX官民共創協議会(BDX)の現地支援により、ICカードを活用した被災者動向把握や、各種支援活動で得られた被災者情報を統合する被災者データベースの構築など、個人情報を積極的に活用した新たな取り組みも行われ、デジタル技術による今後の災害対応への希望の光も生まれている。

本講演では、防災DXに関するこれまでの動向、現状、直近災害における事例を示しながら、今後の展開について考えたい。

講演動画

準備中(2024年12月4日(水)公開予定)

講演の録画を後日公開いたします

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